溺愛ドクターに求愛されて
やっとこうして一緒に生きていける。俺はずっと昔から、それを願っていた。
そう思っているとふと、沙織が瞳を開いた。
俺の顔を見て、嬉しそうな笑みを浮かべた沙織が俺の頬に触れる。
その顔がいつもと違うような気がして、俺に穏やかな笑みを浮かべる沙織の事をじっと見る。
「ずっと、あなたとこうなる日を待っていました」
その言葉を聞いて、心の奥底に眠っていた何かが呼び起こされるようなそんな感覚に襲われて瞳から涙が溢れ落ちた。
それは俺じゃない誰かの感情のようで、だけど俺のものに間違いないその感情に少し戸惑う。
「私はあなただけを、遠い昔から愛しています」
そう言った沙織の瞳からも涙が溢れ落ちる。
「私もです。あなたと共に生きるために生まれてきました」
それは俺だけど俺ではない誰かの言葉で、その言葉を聞いた沙織だけど沙織じゃない誰かが嬉しそうに微笑んだ。