溺愛ドクターに求愛されて

「ごめんね、弘樹。もう、弘樹の事信用できない。疑いながら付き合い続けていく事はできないし、まして結婚なんて考えられない」


私のその言葉に、電話の向こうの弘樹が大きく息を吐いた。


『……本当に、許せない? もう二度としないから、俺と結婚しよう。頼むから、沙織以外と結婚なんて考えられないんだ』


じゃあ、どうしてあんな事をしたの?どうして私を裏切ったの?


その言葉を口にする事は出来なくて、私は眉を寄せて黙りこむ。


もう予約をしたホテルは目の前だ。


ふと、ホテルの前に立っているスーツを着た男の人が私の事をじっと見ていることに気付いた。


少し長めの髪の毛を無造作にセットしているその人は、驚くほど綺麗な顔をしていた。


背が高くて、目鼻立ちのはっきりとした女性と見間違うほど綺麗な顔だけどちゃんと男っぽい。


何というか、不思議な魅力を持った人だ。


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