溺愛ドクターに求愛されて
唇が重なりあっているところを、ばっちり見てしまった。
私が入ってきてすぐに男の方が女の方を突き放したけど、
その衣服が乱れているのを見ておいおい、と思う。
こんなところで一体、何をしようとしていたんだか。
誰が来るか分からない。おまけに鍵もかからない場所なんですけど。
そういう事をするなら場所を選んでほしい。
「すいません、お邪魔して。ちょっとシーツと包布だけとらせてください」
よほど私が入ってきたことに驚いたのだろう。
目を見開いたまま固まっている男の横から私はシーツと包布を手にする。
「じゃ、すいません。失礼しました」
そう言って私はリネン庫を出て井上さんが待っているであろう病室に向かって何事もなかったかのように歩き出す。