溺愛ドクターに求愛されて

「また会ったね。さっき八坂神社で声かけようと思ったんだけど……逃げたでしょ?」


思いの外低いよく通る声でそう言われて、私は思わず一歩下がった。


「ス、ストーカーじゃないですよ」


誤解されたら困るとそう言った私を見てその人は一瞬目を丸くしてからぷっと吹き出した。


「それを言うなら俺の方じゃない?君がいる所に後から現れてるわけだし。……にしても金比羅様やるな」


そう言ってその人は私の事を澄んだ茶色い瞳でじっと見る。


「何か縁感じるよね。帰り道、一緒に行かない?携帯、壊れちゃったし。色々不便でしょ?」


苦笑いしながらその人が差し出した携帯を見て、私は泣きそうになった。


画面に見事にヒビが入っていて、電源が入らなくなっている。


うん、これはダメだろうな。


携帯を見たままショックを隠せない私の顔をその人は覗きこんでくる。


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