溺愛ドクターに求愛されて
「電車の時間も分かんないでしょ?一緒に行こうよ」
そう言われて素直に頷いてしまった私を見てその人はホッとしたように微笑んだ。
何となくだけど、悪い人ではない気がするし何よりも一人で戻るのが心細い。
「しかし、誰もいないんだね。俺、何回かここ来てるけど……こんなの初めてだな。ちょっと参拝して来るから待ってて」
そう言って私から離れたその人を私は階段の傍で待つ。
本当に人が全然来なくて、落ち着かない気分になる。
不思議な話は好きだけど、怖い話は苦手だ。
あの人早く戻ってきてくれないかな、なんて全然知らない人にそんな事まで思ってしまう。
少ししてから戻ってきたその人を見て、思わずほっとしてしまう私を見てその人はニコッと微笑んだ。
「どうしたの。そんな不安そうな顔して。怖くなっちゃった?」
からかうような口調でそう言われて赤くなる私を見てその人は笑みを深くする。