溺愛ドクターに求愛されて

「なるほど。本名は教えたくないんだ。俺は……裕介だよ。舞依ちゃんと違って本名だけどね」


え、な、なんで本名じゃないって分かったんだろう。私、そんなに分かりやすいのかな。


「ゆ、裕介さんは京都の人じゃないんですか?」


関西弁でも京都弁でもなく癖のない標準語を喋ってるからそう聞くと裕介さんは頷く。


「うん。実家は東京だけど、仕事の都合で京都に来て五年かな。でも、今度東京に戻るんだ。舞依ちゃんは東京の人だよね?」


「あ、はい。そうです」


それに頷くと、裕介さんは私を振り返る。


「……もしかして傷心旅行か何か?一人だし、最初にホテルの前で見た時泣きそうだったよね」


裕介さんの言葉に私はギクッとする。やっぱり見られてたんだ、あれ。


うわ。私、完全に痛い女じゃない。


「そ、そうです。四年付き合ってて結婚目前だった彼氏に浮気されて別れました」


そう思うと何だかどうでもよくなってきてしまって投げやりにそう言うと裕介さんは意味深な目を私に向けてくる。


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