溺愛ドクターに求愛されて

「裕介さん、鞍馬の方にはよく行ってたんですか?」


「うん、京都で一番好きな所かな。何かパワーもらえる気がしてね。だから、東京に戻る前に色々行っとこうと思って仕事休みもらってたんだ」


そう言った裕介さんが私を見て意味深な笑みを浮かべる。


「そしたら沙織と出会えて、すごくラッキーだなと思った。信じてたけどね、改めて神様っているんだなって思ったよ」


確かに行く先々で裕介さんに会って私もびっくりした。


裕介さんが人間じゃないんじゃないかって疑っちゃってからかわれて怖くなっちゃってこうして手繋いで稲荷山を下りたんだよね。


「裕介さん、神様とか信じてるんですね」


ちょっと意外に思いながらそう聞くと裕介さんは苦笑いをしながら私を見る。


「そうだね、わりと非科学的な事も信じてるかな。あ、着いたね」


話している間にあっという間に鞍馬駅に着いて、本当に小さな駅を出ると大きな天狗の顔が私達を迎えてくれる。


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