溺愛ドクターに求愛されて

鞍馬寺といえば、源義経が幼少時代を過ごした場所として有名だ。


鞍馬山には天狗が住んでいて、義経はその天狗に剣術を習っていたという逸話が残っている。


駅から数分歩くと、階段の先に仁王門がある。


結構急な階段を登っていくと仁王門の所に受付所があってここで愛山料二百円を払うのだけど、さも当たり前のように裕介さんが払ってしまう。


「ゆ、裕介さん。私、自分で払いますよ。昨日もご飯おごってもらってますし」


そう言うけど、裕介さんは笑ってて聞いてくれない。


「いいよ、これくらい気にしないで。俺、実はお金持ちだから。沙織は俺に甘えてて」


う、わ。心臓が、ズキッとした。


こんなかっこいい人に、そんな事言われたらどうしていいか分からなくなっちゃう。


頬を染めて黙る私を見て、裕介さんがクスッと笑う。


< 62 / 174 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop