溺愛ドクターに求愛されて
「本当に可愛いな。見た目とのギャップがまた、たまんなくて……どうしてくれよう」
眉を下げて困ったように笑う裕介さんに手を引かれて坂を上がると、由岐神社がある。
平安時代にあたる940年に天変地異が続く京の都を鎮めるために建てられた神社だという。
御神木である巨大な杉の大木を見上げて、本当に天狗がいてもおかしくないなと思う。
木の枝に天狗が座ってそうな、そんな雰囲気がある。
毎年十月二十二日の夜に行われる京都三大奇祭の一つ「鞍馬の火祭」もここで行われてるのだそうだ。
由岐神社を過ぎると九十九折というくねくねとした山道を登っていく。
小鳥のさえずりとか時々吹く風とかが心地好いけど、裕介さん私に合わせてゆっくり歩いてくれてるな。