溺愛ドクターに求愛されて

「越川裕介です。よろしくお願いします」


その声も、間違いなく裕介さんだ。


挨拶を終えた裕介さんが私の方を見た気がして、私はまた井上さんの陰に隠れた。


金澤先生と裕介さんがナースセンターを出ていって、ちょっとほっとする。


「越川先生ね、すごいイケメンだったわね。で、大谷は越川先生と知り合いなの?」


こそこそとそう聞かれるけど、とてもじゃないけどここで話せる内容じゃない。


誰に聞かれるか分からないし。


「そのへんはちょっと込み入った話になるので、今度の夜勤の時でもいいですか?」


次の夜勤は井上さんとだからと思ってそう言うと井上さんはちょっと不服そうな顔で頷いた。


「分かった。じゃあ私も越川先生の事、リサーチしとくから」


「え!?い、いいですって」


そう言うけど井上さんは私の言う事なんて聞かずに患者さんの処置のためナースセンターを出ていく。


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