溺愛ドクターに求愛されて
それっきり越川先生は黙ってしまったから、私も黙って窓の外の景色に目をやる。
病院から十五分ほど走った場所にある高そうなマンションに車を停めた越川先生が車から降りた私の手を握る。
「まだ片付けきってないんだけど。沙織には前の家でも散らかってるの見せてるからな。あの時よりはマシだと思うよ」
そう言った越川先生に手を引かれて越川先生の部屋に入る。
まだ段ボールが置かれてるけど、確かに散らかってるってほどじゃない。前も段ボールがたくさんあっただけで散らかってはいなかったけど。
「ソファーに座ってて」
そう言われてソファーに座るけど、このソファーって京都で押し倒されたあのソファーだよね。
あの時の事を思い出して赤面しそうになってしまう。
「とにかく沙織と二人っきりになりたくて何も考えてなかったんだけど……お腹空いたよね。何か作れるかな」
そう言った越川先生が冷蔵庫を開けてるけど、彼女がいるのに私の事家に連れ込んで大丈夫何だろうか。