溺愛ドクターに求愛されて
「あの、お構いなく……すぐ帰るので」
私の言葉にため息をついた越川先生がキッチンから出てきて私の隣に座る。
「何か……すごいよそよそしくない? また会えてやっぱり運命だって喜んでるのは俺だけ?」
そう言った越川先生が私の事を真剣な顔でじっと見る。
「だって、あの……越川先生。彼女がいるって」
そう言った越川先生はふっと笑って私の事を指差した。
「いるでしょ、ここに。京都で俺のものになってって言った俺の告白に沙織は頷いたよね。好きって言ってくれたし」
え、あれ……本当に本気だったの?その日限りの事じゃなくて?
「あの日限りの事なのかと思っていました……」
そう言った私に越川先生は肩を落としてため息をついた。
「うん、それはごめん。俺もいい年して順番間違ったと思ったよ。情けないことに理性が効かなくてさ。
だからちゃんとやり直そうと思って待っててってメモ書いといたのに。ちょっと病院に呼び出されて、どうしても行かなきゃいけなくて……帰ってきて沙織がいなくてすごい落ち込んだ」
そう……だったんだ。病院に呼び出されてたんだ。