同期と同居～彼の溺愛中枢が壊れるまで～

「……誰に掛けてるの？」


まさか……いやでも、このタイミング。ついさっき名前出たし、あり得る……。

緊張しながらじっと理央の返事を待っていると。


「比留川くん」


や、やっぱり……！

さらに動揺してドクドク鳴る心臓を抑えつつ、平常心を装う。


「――あ、笹川です。ごめんね休み中に。あのさ……」


電話は思った以上にすぐつながった。

……電話に出られるってことは、サーフィンは休憩中なのかな。

聞こえるわけもないのに、理央のスマホから彼の声が漏れて来ないかと、無駄に耳を澄ませてしまう。


「ううん、あるならいいの！　私なくしたかと思っちゃってさ――え？　難波って……みちる？」


理央の瞳が、急に私の方を向く。

なになに？　なんで私の名前がそこで出てくるの？


「みちるなら、今隣にいるけど……」


わああ、電話の向こうの比留川くんに私の存在がばれた……！

なんか妙に気まずくて逃げ出したい……。