同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~


「あんな風に出ていかれて、俺が納得するとでも思った?」


私を嘲笑うような、少し意地悪な笑み。

彼の両手は私の手首を拘束していて、身動きが取れない。

こ、このタイミングでその話をされるとは……!

心臓が喉から飛び出しそうなくらいに大きく脈打っていて、息苦しさを感じながら、もがくように声を出す。


「あんな……風、って……?」

「あの時、急に白状しただろ? ……本当のみちるのこと」


あちゃー……、やっぱり噓をついていたことに怒っているんだ。

でもなんで、こんな時に名前で呼ぶの?

失恋を確信したはずの心に、変な期待を抱かせるのはやめてよ。


「……ごめんなさい。ずっと、嘘ついてて」


ふい、と彼から目をそらして言うと、上からため息が降ってくる。


「本当だよ。……人の気も知らないで」


忌々し気に吐き捨てる彼にショックを受けて、じわっと瞳が潤んでくる。

嘘をついていた自分が悪いんだから、泣く権利なんてないのに……。


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