同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
「ごめんなさい……」
謝ることしかできなくて目元を拭う私に、比留川くんがぼそりと小声でこぼす。
「もういいよ謝んなくて。……つか、俺も隠してたことあるし」
少しきまり悪そうな表情の彼を見て、はっとする。
それって、きっと沙弓さんの言っていた“アレ”だよね……?
その件に関して、本人に真偽を確かめたい。
「超モテて、超チャラくて、超超女たらしだったこと……?」
おそるおそる尋ねてみると、比留川くんの眉毛が急にぐいっと中央に寄って、これ以上ないというくらいの困惑顔になった。
続いてぱかっと大きく開いた口から、間の抜けた声が出る。
「……は?」
あ、あれ……? 思っていた反応と違うのですが。
「なんだそれ。誰情報?」
「さ、さっき……沙弓さんに、聞いて」
その名前を聞くなりおでこに手を当て、「アイツか……」と疲労の滲んだ声を出す比留川くん。
それからちらりと私を一瞥して、冷たい声を漏らす。