同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
ウィルに連れられて到着したサーフポイントに、他のサーファーの姿はなかった。
……と、いうか。私たち以外に誰もいない。
観光客でにぎわう美しいビーチとは少し違い、流木や石がゴロゴロ落ちているちょっと荒っぽい足元の先で、青い波が打ち寄せる。
「ここはボクがガイドした人たちだけに教える秘密の穴場。サンゴが少ないから安全だし結構いい波が来るんだ」
車から下ろした大量の荷物を地面に置きながら、ウィルが得意げに教えてくれる。
「……いいな。貸し切り状態で」
車で着替えてきた迅は、水着にラッシュガードというラフなスタイルで、うれしそうに波を見つめている。
「でしょ? 狭い海で波取り合ってる日本じゃあり得ないよ」
「だな。早速行ってくるわ」
軽くストレッチをすると、ボードを持った迅が波打ち際に歩いていく。
迅がサーフィンするところを見るの、何気に初めてだからドキドキするな……。
白いワンピースの裾をはためかせて、私が迅の背中に熱い視線を送っていると。
「ミチル、その可愛い水着はジンのため?」
「え?」
振り返ると、にこにこしたウィルが隣に並んで言う。
白の中に白だから、そんなにわからないかと思っていたけど……。