同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
「……もしかしてちょっと透けてる?」
「うん、少しね。さらにボクは透視能力あるからわかるけど、けっこうダイタンな水着でしょ」
おおげさに目を細めて言い当てるウィルがおかしくてクスッと笑うと、私ははにかんでうなずく。
「実はそうなの。迅が“ずっと隠しとけ”っていうくらい」
「へー。ジンは意外と独占欲強いタイプなんだね。ボクなら大勢に見せびらかしたいのになぁ。この可愛い女はボクの恋人のなんだぞって」
「ふふ、ウィルらしい」
そんな会話をしているうちに、迅はすっかり小さく見えるようになってしまった。
波を待っているのか、ボードに身を預けて静かに浮かんでいる。
「ミチル、本当にそうなってくれる気はナイ?」
波の音に紛れてウィルが放った言葉の意味が、よくわからない。
視線の先では大きな波が生まれていて、迅はあっという間にボードの上に立ち上がると、波をとらえて見事に乗りこなす。
その姿はやばいくらいカッコいいのに、ときめきは半分で、もう半分の胸はざわざわ乱れていた。
だって、なんか困った展開になりそうな予感がして……。それなのに、迅はあんなに遠くにいるこの状況、どうしよう。
「や、やだなーウィル、こんなとこでもナンパ?」
でも、ウィルはきっとこんな口説き文句言い慣れているだろうし、そんなバカまじめに受け取るものでもないよ!
そう自分に言い聞かせて、笑い話にしようとするけれど。
「……うん、そう。ミチルをナンパしてる。真剣にね」
うう~……サラッとこんなことが言えるのは、やっぱりアメリカ人だからなの?
ウィルの青い瞳がじっと私を見ているのがわかるけど、私はウィルの方を見れない。