同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
2.あたしに返せるもの side愛海
自分たちの部屋に到着して荷物を片付け終えたあたしは、部屋の真ん中に鎮座するベッドに腰掛けひと息つく。
親子三人で寝ても余裕でくつろげそうだから、キングサイズだろうか。
そんなことを思いながら窓辺に視線を移動させると、窓枠にもたれて電話をしているハルの姿がある。
あたしたちに代わって娘の面倒を見てくれている霞社長に連絡しているところだ。
「……ありがとうございます。じゃあ、またあとで」
通話を終えてベッドに近づいてきたハルに、あたしは問いかける。
「愛咲は?」
「別荘の中見て回っただけなのにはしゃぎすぎて寝たって」
ため息をつきながらどかりとあたしの隣に腰掛けたハル。きっと、愛咲の相手で疲れているのだろう。
もう四歳とはいえときどき抱っこをねだるし、女の子らしくおませに育っている彼女との会話に付き合うのは同性のあたしでもなかなか骨が折れる。
「飛行機では寝なかったもんね。じゃあ迎えに――」
「いや、社長がたまには二人でゆっくりしろって。せっかくだから甘えようぜ」
ハルはそう言うなり、背中からぼふっとベッドに倒れ込んだ。
「……いいのかな?」
「ああ。社長の彼女がけっこう子供好きみたいだ」
「そっか。起きたらすぐ迎えに行けば大丈夫かな」