同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
「彼と関係してたあのとき……彼の娘、愛咲と同じくらいの年齢だった。だからあたし、今頃になって、なんてことしてたんだろうって……自分が、許せなくて」
独身だったあの頃、不倫=相手の家庭を壊すってことに、リアリティがなかった。
彼だけ手に入ればあとのことは知らないって。
身勝手にもほどがあるけど、恋に溺れていたあたしはその愚かさに気が付けなかった。
そのころからずっと傍にいてすべてを知っているハルは、あたしの肩からスッと手を離して前を向いたまま淡々と告げる。
「……いくら後悔しても、お前の罪は消えない。罪悪感も、一生背負ってかなきゃならねぇ十字架だ」
「わかってる……わかってるよ……」
今になってこんなにつらいのも、自分で蒔いた種。
だから、黙って耐えなきゃならないのに……弱音をこぼす権利なんか、ないのに。
思わず涙があふれて両手で顔を覆った瞬間、大きな手に肩を抱かれた。
ハルの唇があたしの髪に触れ、あたしの痛みを優しく包み込むような声が耳に届く。
「でも俺は……その罪ごと、お前を愛してるから」
……どうしてなの。いつだって、あなたは。
「そばにいて、涙を拭うことしかできなくても……お前の受ける罰に一生付き合うから」
あたし自身よりもうまく、あたしの傷を、なだめることができるの。