同期と同居～彼の溺愛中枢が壊れるまで～

「愛海」


大量の涙で濡れた手を顔の前からそっとどかされて、その手を優しく握られる。

少し傾けたハルの顔が近づいてきて、彼の唇がそっと触れる。


「ひとりで、つらい顔すんな。……もっと、俺を頼っていい」

「ハ、ル……」


ありがとうが、言葉にならない。あたしも愛してるって伝えたいのに、口を開くと情けない涙声しか漏らせない。


「う……っ、く、ハル、あたし……」


……なのに、この人の心にはちゃんと届いていて。


「……そんなに俺が好きか」


冗談ぽく言った彼だけど、あたしはコクンとうなずいてその胸にギュッとしがみついた。


「好き……あたし、ハルがいないと、生きていけない……」


決して大袈裟じゃない。それほど大きな、そしてかけがえのない存在なの。

あなたはこんなあたしを“重い女だ”とバカにしたりもしない。

それどころか、あたしを強く抱きしめ返して言い聞かせてくれる。


「いるよ……ずっと、お前のそばに。そのために結婚したんだろ」

「うん……」