同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
あたしの罪は消えない。でも、この人が隣にいてくれる限り、あたしはそれに押しつぶされずにいられる。
どちらからともなくもう一度キスをしようと顔を近づけ、けれどそのときちょうど携帯の着信音が部屋に響いた。
「……なんだ、もう起きたのか」
苦笑したハルはあたしに軽くキスをして、ベッドの上にあったスマホに手を伸ばす。
「はい。……え、二次元?」
聞きなれないワードがハルの口から飛び出して、あたしは目を瞬かせる。
愛咲が起きたという連絡じゃないのかな……それにしても二次元って?
「……うーん。生身の男に心奪われるよりは……いや、でも」
ハルがおでこに手を当てうんうん唸っている。
何をそんなに葛藤しているんだろう。
「……わかりました。じゃあまた」
電話を切ったハルはなんだか憔悴していて、スマホを放り投げると不機嫌そうな様子でベッドに横になってしまった。
「どうしたの?」
「愛咲が……二次元の男に恋してるらしい」
「え? なにそれ……」
「社長の彼女がハマってる乙女ゲームってやつを横で見てたら、なぜか愛咲も夢中になったらしい……」