同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
……おお、きたきた。これが限定スチルね。じゃあこれから萌え台詞が聞けるわけだ。
気を取り直してスピーカーから流れるイケメンボイスを堪能しようとしたら、隣からにゅっと京介さんの手が伸びてきた。
その手はゲーム機の側面についている音のボリュームを変えるつまみを操作して、なんと音声をオフにしてしまった。
「な、なにするんですか京介さん! これから胸キュンするところ――」
すかさず抗議の声を挙げたら、口元に人差し指を当てて「シッ」という仕草をした京介さん。そして彼の視線はなぜか、ゲーム画面の方に注がれていて……。
「僕は、きみのすべてを愛しているんだ。だから、そんなことで謝らないで。ほら、笑顔を見せて?」
画面上のイケメンの口がぱくぱく動くのに合わせて、京介さんがそんなことを言う。
それはゲーム画面に文字で表示されている本来のセリフとは、全然違う。
違うのに、ゲームの中よりよっぽどキザで、なんだか顔が熱くなってくる。
「ふざけてるんですか……?」
ちらっと隣の彼を睨んでみると、余裕の笑みで微笑んだ彼が私の耳のそばでささやく。
「……どうして? 本心を言っただけなのに」
ああああ、そんなに甘い声を出さないでください!
私は二次元専門なんです! 三次元の恋愛はまだまだビギナーで、こんなとき心臓発作で死んでしまいそうになるんですから……!