同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~


私はどっくんどっくんと激しく脈打つ心臓をなだめながら、かろうじてこう言った。


「わ、わたしもう少しゲームしてますから、買い物、先におひとりで行っててください……!」


三次元の王子様、お願いだからこれ以上ドキドキさせないで……! 私に一人で落ち着く時間をください……!

ぎゅっと目を閉じてそう祈っていたら、彼は優しく私の手からゲーム機を奪って、それから左手の薬指のあたりを軽く撫でた。


「それが、一人じゃ目的のものが買えないんだ」

「どうしてですか?」

「中心街のショッピングモールにティファニーが入ってるんだけど……指輪は、きみが試着しないと意味がないだろ?」


ティファニー……? ゆ、びわ……?

ぽかん、と口を開いている私の脳内には、おかしな思考がぐるぐるまわる。

これは二次元の、女子が女子のために考えた自分に都合のいい萌え台詞……?

いや、でも京介さんの声だった。じゃあいっそ、京介さんの存在が幻とか……?


「……何も言ってもらえないと不安になるな。八重、ちゃんと僕の目を見て」


真剣な声が聞こえた瞬間、うつぶせだった身体がぐるっと反転した。

天井を隠すようにして私の上に覆いかぶさっているのは、幻じゃない……私の王子様の、京介さん。

彼のきれいな瞳と視線が絡まって、胸の高鳴りが最高潮に達したそのとき。


「僕と結婚してくれる?」


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