同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
困ったように眉根を寄せて恥ずかしさに耐えるミチルを観察して楽しんでいるうちに、ドリンクが運ばれてきた。
逆三角形のカクテルグラスに注がれているのは、薄黄色の甘いカクテル。
僕の方はただのコーラだけど、先にグラスを持った僕に促されるようにして、まだ顔を赤くしたままのミチルも細い指でグラスをつかむ。
「これは、アイ・オープナー。いちおう、ミチルへの隠れたメッセージを込めたつもり」
「メッセージ?」
「うん。このカクテルにはね、“運命の出会い”って意味があるんだ」
そう話した瞬間、ミチルはグラスを持ったまま固まってしまう。
この子は本当に口説かれることに慣れていないんだなぁ。そんなところも奥ゆかしい日本人女性らしくてカワイイけど。
「ウィル、私……」
「そんなに困らないでよ。とりあえず僕の気持ちは置いといていいから、飲んでみて。いろんなフルーツの味も溶けてるし、ブランデーの香りが最高なんだ」
僕が勝手にグラスを合わせて、「乾杯」と口にすると、観念したのかおずおずとグラスを口に運ぶミチル。
ひとくちだけコクリと飲んでその味を確かめた彼女は、やっと表情を緩ませてくれた。