同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
「……美味しい。けっこう、強めだけど」
「でしょ? 女の子酔わせてお持ち帰りするのに最適」
「またそういうことを言う……」
僕の発言に呆れながらもカクテルの味は気に入ってくれたらしく、ミチルは何度もグラスを傾け、二杯目のお代わりをした。
そのうちとろんとしてきた目元がどこか憂いを帯びていて、長い睫毛が瞬くたびに僕の胸は小さな痛みを覚えた。
そんな顔をしているのは、ジンのせいなの……?
せっかくの旅行で、彼女をひとりにして趣味のサーフィンばかりして。ミチルが勇気を出してチャレンジした水着も褒めてあげない。
ケッコンだって、する気があるのかないのかもわからないし、もしかしてミチルのこと本気じゃないのか?
……それなら、僕は全力で彼女を奪いたい。
ミチルだって、自分に悲しい顔をさせる男と一緒にいる必要なんてないだろう……?