同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
「柏木さん……“じゃあ俺が孕ませてやろうか?”っていきなり言いだして」
「……なんだと?」
柏木……悪い冗談にもほどがあるぞ。
一気に表情を険しくする俺に、小梅が詳細を教えてくれる。
「あたしもなんでそんな話になるのかと思って戸惑ってたら、“小梅ちゃんが久我さんに言ったのも似たようなことだろ。小梅ちゃんに愛より精子が欲しいって言われたように思えて、だから久我さんも拗ねてんだと思うぜ”って、教えてくれて……」
内容が内容なだけに、小声で照れくさそうに小梅が話す。
……柏木のやつ。だいたい図星だが、俺は別に拗ねてなんか。
「だから……猛、さん」
小梅の小さな手が、ぎゅっと俺の手を握る。
そして夕暮れの中でもわかるくらいに頬を赤くして、潤んだ瞳で俺を見つめた。
「今夜は、愛がほしいです」
……馬鹿。そんなの、頼まれなくたって、与えるつもりだったよ。
俺は掴まれた手を解いて指を絡ませるように握り直すと、空いている手を彼女の頬に添えて短いキスをした。
「あれ? ……お酒、飲みました?」
俺の吐息からアルコールを感じたらしい小梅に聞かれて、俺は白状する。
「飲んだ。……ゴメンな」
「別に、責めてるわけじゃありません。……初めてのキスのこと思い出して、ドキドキしたっていうか」
初めてのキス……?