同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
善は急げとばかりにバスルームを飛び出し部屋を出ようとすると、少し吐き気がましになったらしい小梅が俺を追ってきた。
「どこ行くんですか?」
「え? いや、小梅が妊娠したかもって、皆に――」
「は、はやいですよ! まだ病院も行ってないのに! それに、妊娠してたとしても安定期過ぎるまでは公にしません!」
「なんで」
「なんでって、もう……! これだから男の人は!」
呆れかえる小梅に、「すいません」と頭を下げる。
その流れで朝から母体の変化などの講義を受けることになってしまったが、きっとそれも父親になるために必要なことなのだろう。
……これからは、俺と小梅と、もうひとり、か。
しみじみそんなことを思いながら、急に頼もしくなったように見える小梅の顔を、目に焼き付けていた。