同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
6.幸せになろう side迅
この旅行中、絶対みちるにプロポーズする。
そう決意したのはいいが、そのことを意識し過ぎてみちるの前で普段通り振る舞えない。
だから、逃げるようにサーフィンに没頭していたのだが……
どれくらい時間が経った頃だろう。岸にいたはずのみちるとウィルが見当たらないことに気が付いた。
急いで浜辺に戻ってみると、残されていたのは、地面に無造作に置かれた俺の荷物だけ。
「どこ行ったんだ?」
現地のことをよく知るウィルが一緒にいるのだから、心配はいらないと思うけど
呑気にそう思いながら、タオルで濡れた身体を拭っているときだった。
「……やっと上がったんだね、ジン」
背後の茂みから姿を現したのは、ウィルだ。でも彼はみちるを連れておらず、俺は怪訝そうに眉根を寄せる。
「みちるは?」
「ジンがわからずやだから、もう会いたくないって」
にっこり笑ってそんなことを口にするウィル。けれど彼の青い瞳は笑っていない。
みちるがそんなことを言うわけがない。……が、さっき水着の件で口やかましく彼女を叱った件で落ち込んでいる可能性はある。
でも、他人であるウィルには関係ないだろう。
「……とにかくみちると話す。どこにいるんだ」
「教えたくないなぁ。だって、今ミチルを口説いている最中なんだ」
「なに?」
ぴくりと眉を震わせ、俺はウィルをじっと見据えた。