同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
比留川迅(ひるかわじん)。私や理央と同じ入社五年目ながら、課長に昇進したすごい人。
理央と同じ企画課の所属で、主に新製品の開発を行っている。
普段から私も企画課の社内プレゼンに同席するけれど、比留川くんのプレゼンはいつも説得力があって、感心してしまう。
そのうえ容姿も俳優並に整っているから、天は二物も三物も与え過ぎなんじゃ?なんて思うことさえある。
性格はクールだからあまり女性を寄せ付ける雰囲気はないけれど、実は私、ちょっといいなって思っている。
仕事のできる、都会的なイケメン――。
そんな人を彼氏にできたら、ようやく“アイツ”の呪縛から解き放たれる気がするんだ。
……なんて。
もう、別れて何年も経つのに、私はいつまでこの恋を引きずってるんだろう。
過去の苦い恋愛経験を思い出して小さくため息をついた私の肩を、理央がぽんと叩く。
「じゃみちる、今日も頑張ろ! 週末には飲み会もあるんだし。ねっ」
「うん。あ、もうこんな時間か!」
腕時計を見て慌てた私は理央とふたり、早足で同じ部屋を目指す。
七階建ての本社ビルの四階に、私たちのオフィス“商品開発部”はある。