同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
溺愛level4*クレームと膝枕
週が明けた月曜日。
突然一変した生活を悟られないよう、会社での私は極力いつも通りを心掛けた。
他部署とはいえ、付き合ってもいないのに一緒に住んでる、なんてことがばれるといろいろ面倒なことになるのは確実なので、とりあえず同居のことは誰にも内緒にしている。
今朝も家を出る時間をさりげなくずらし、比留川くんとは別々に出社した。
でも……いくら内緒にすると言ったって、限界もある。
「ねえ、八重ちゃん……住所変更届とかって、まず直属の上司に提出するもの……だよね」
昼休みを迎えたオフィスで、いつの間にかビン底眼鏡をコンタクトに変えたらしい後輩、八重ちゃんにさりげなく聞いてみる。
比留川くんとの新生活にあたり、私は思い切って、前の家を解約することにした。
彼には家賃はいらないと言われたけど、それでは私の気が済まなくて、前の家の最後の家賃が引き落とされたら、毎月ちゃんと折半で払うことを約束した。
つまり、私の住所は完全に変わるわけで……。
「先輩、引っ越したんですか?」
そう言って小首をかしげる仕草までなぜか可愛くなっている八重ちゃん。
内面を変えたければ、まず外見から。それを成功させているいい例だなぁなんて思いながら、慌てて否定する。
「いや、そうじゃないんだけど……いずれ、したいなぁって」
「どうなんでしょうね? 直接管理課に出しても問題なさそうな気はしますけど、上司に渡して済むならそっちの方が楽じゃないですか?」
「そ、そうだよね……」