同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
「私、ベッドの上で正座して、社長の前でこの眼鏡を掛けて……本当の自分を白状しました。本当の私は、ダサいし、ネガティブだし、社長に愛される資格なんてない女なんですって。だから、私なんかのこと抱いたら、社長の価値が下がりますって言って、逃げようとしたんです」
その時の彼女の心境を想像して、胸がきゅっと締め付けられる。
本当の自分……か。それを白状するのは勇気が要ったことだろう。
好きな人には、良く思われたいのが普通だもの。
私だって、いまだに比留川くんに本当のことを明かしていないし……。
「……なんか、八重ちゃんらしいね。社長は、なんて?」
優しく尋ねると、彼女は再び眼鏡をはずし、瞳を潤ませながら語った。
「“僕はね、自分の弱さを見つめられるきみだから惹かれたんだ。僕自身が、自分のコンプレックスに目をつぶって生きていた時期があるからかもしれない。そのつらさを知っているから、きみにももっと自分を好きになってほしい。その、手助けをしたいんだ……きみを愛すことで”
――――社長、そう言ってくださって。私、なんか泣いちゃって」
はにかみながら涙ぐむ彼女に、こちらまで胸が熱くなる。
すごいなぁ……社長。今までコンプレックスだらけだった八重ちゃんにとって、本当に白馬の王子様だ。
彼女の内面まできちんと理解してくれる相手だし、彼が相手なら先輩としても安心だな。
「そっかぁ……。それで、そのあとついに社長と……」
「はい。その、抱かれてる間、ずっとキスをしてくれてたから……思ったより、怖くもなかったです。それより、幸せで、うれしくて」
「きゃー! なんだかこっちが照れちゃうな。おめでとう、八重ちゃん」
「ありがとうございます」