同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
八重ちゃんとの女子会はかなり盛り上がり、家に着いた頃には日付が変わっていた。
いちおう電車で帰ってきたけど、足元がふらふらするし玄関の鍵を開けるまでに何回も落っことしたりして、完全な酔っ払いだ。
「ただいまぁ……」
もう寝てるだろうと思いつつ、暗い廊下に呼びかける。
返事がないことは想定内なのに、酔っ払いと化した私は無性に寂しくなり、比留川くんの部屋の扉をノックする。
八重ちゃんと社長の幸せそうな話を聞いてしまったからなのか、あまり進展のない自分の恋に歯がゆさもあった。
「ねえねえ、帰って来たよー。少しでいいから話そうよぉ」
迷惑かも、なんて思う理性的な部分は欠如していて、とにかく彼に会いたい一心で、しつこく扉を叩く。
すると、中からガチャリと扉が開いて、比留川くんが眠そうに目を擦りながら出てきてくれた。
「……おかえり。なんか、テンション高いな。……酔ってる?」
「えへへ、酔ってませーん。難波みちる、ただいま帰りました!」
ビシッと敬礼を決める私に、比留川くんは呆れ顔。
「……完全に酔ってるな。ちょっと待って、水持ってくるから」
寝ているところを起こしてしまっただろうに、なんて優しいの!
妙なハイテンションで感激した私は、リビングダイニングの方に向かおうとする比留川くんの背中にがしっと抱き着いた。