同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
「ふぁ……! ン……」
こ、これが、あの比留川くんなの……?
普段の彼と言ったら、役職者ばかりが集められた初めての会議でも臆せず淡々と挨拶をしたり、現場の社員に腹の立つことを言われても顔色が変わらなかったり、クールな印象が強い。
でも、今の彼は……。
「もっと絡めろよ……舌」
「そ、んなこと……言われて、も、んぅ」
Sっ気の滲む発言に、身も心もとろけそうな情熱的なキス。
もう、腰が砕けてしまいそう……。
“付き合うのは無理って言った。でも、好きじゃないとは言ってない”
“今から起こることは無理やりにでも忘れて”
もう……比留川くんの言葉の意味が、全然分からないよ。
分からないのに、どんどん深くなっていくキスを拒めない。
それはやっぱり、どうしようもなくあなたを好きだから――。
深夜の廊下に、荒い息遣いと唾液を交換しあう音が響いて、身体の奥が疼きはじめる。
もしかして、私たち、このまま……?
そんな予感を抱いて、いっそう胸の高鳴りは大きくなっていたけれど。
私の甘い期待とは裏腹に、比留川くんはぴたりとキスをやめてしまう。同時に私の顔を包み込んでいた手もスッと離れていった。
私はキスの余韻の残る悩まし気な吐息をこぼし、物欲しげに彼を見る。
一瞬視線は絡んだけれど、比留川くんはすぐに目をそらして私から距離を取る。