同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
「……これ以上は、ダメ。つーか、ホント、今のも忘れて」
頭をがしがしと掻いて、まるで何事もなかったかのように冷めた言い方をする比留川くん。
「なんで……?」
「なんでも。……そういえばさ、俺、朝になったら出かける。月曜に帰ってきて直接会社行くから、留守番よろしく」
そ、そんな……。なんか、切り替え早すぎない?
それに、朝から出掛けちゃうなんて……週末はどうやって過ごすんだろうと楽しみにしていたのに。
でも、私は彼女じゃない。
ただの同居人だから、何も口出しできない。
「……月曜までだなんて長いね。どこいくの?」
「玄太と一緒に地元帰って、久々にサーフィン」
「そっか……」
その予定に自分が組み込まれていないのは当たり前だけど、当たり前なんだけど。
私も、波乗りする比留川くんの姿、見たかったな……。
いつか彼女になれたら見られるのかな……って、さっき振られたんだっけ、私。
「行ってらっしゃい……気をつけてね」
快く送り出すふりをしようと努力したけど、目を見て言うことはできなかった。
「ああ。難波は、早く寝ろよ。……すげぇ疲れた顔してる」
それは、あなたとのことで落ち込んでいるからです……。
呼び方、いつの間にみちるから難波に戻ってるし。