同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
自室に戻っていく比留川くんの背中が扉の向こうに消えると、私は廊下に体育座りをしてがくんとうなだれた。
あー……なんで告白しちゃったんだろう。こんな気まずい感じになるのなら、進展を望むんじゃなかった。
――でも。
「あのキスは……なんだったの?」
不意によみがえる、唇の熱と甘い感触。
突き刺さるような鋭い瞳で私を見て、名前で呼ぶことまで強要する彼は、いつもと別人で――。
私は抱えた膝におでこをつけ、くぐもった声で呟く。
「嫌いにさせようとしたなら、逆効果だよ……」
だって、あんな……私の何もかもを奪おうとするような、強引なキス……。
比留川くんは、なんとも思っていない相手にそういうことできちゃう人なのかな?
それとも、私……まだ諦めなくていいの?
問い正したくても明日から彼は不在だし、モヤモヤした週末になりそう……。
そのまましばらく憂鬱な気分から抜け出せず、私は廊下でうずくまっていた。