箱入り娘と黒猫王子
元気よく手を挙げ俺を見るふら。



……子犬だな。
あれだ、あれ、ポメラニアン。

そんなこと考えていたからか、芸を終えた犬を撫でる感覚で頭を撫でる。



するとまるで終わったかのように息をつく駄犬。



んな世の中甘くねぇよばぁか。

次の簡単な仕事を与えるとこの世の終わりかのような顔をした。



とは言ってもたかが2、300枚の紙に判を押すだけの仕事。
すぐ終わんだろ。

……と思った俺の読みは甘かったらしい。

1時間がすぎてもなお、半分ほどの紙がまだ手付かずだった。



おいおいマジかよ。

少し急ぎめにこなした大量のファイルを横にずらし、次の仕事に手をつける。

さすがにこれが終わる頃には終えてるだろう。
任せる仕事ばかり増えていく。



「かーいちょ。絃ちゃんと飲み物買い行きますけど、何がいいです?」

「あー…コーヒー」

「はいはぁーい…って、え?そのファイル、もう終わったんですか?」

「あ?あぁ」

「うわぁ〜相変わらず化け物〜」

「褒め言葉として受け取ってやろう」



ふらの仕事ぶりを見てペース配分しようと思ったが、こりゃ…



前途多難だな。


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