君の中から僕が消えても僕は君を覚えている。【完結】
「藤さんがいつも一生懸命だって僕が知っているよ」
「うん」
「藤さんは頑張っているんだ。だから、今回のテストも凄く良かったんだよ」
「うん」
「藤さんは可愛い。誰よりも可愛い」
「えっ」
何を言っているんだ。
驚きながら槙野くんの顔を見る。
槙野くんは私の頬にあてた手をゆっくりと上下させた。
「僕は藤さんの素敵なところをいっぱい知っているよ」
「……うん」
「大好きだからね。僕は大好きだから。これだけは覚えておいて」
「……う、ん」
ああ、槙野くんの顔が涙でぼやける。
槙野くん。
私も槙野くんが好きだよ。
そんな風に気持ちをぶつけてくれる槙野くんが好きだよ。