君の中から僕が消えても僕は君を覚えている。【完結】
「槙野くん、聞いて……くれる?」
「うん。いいよ」
槙野くんなら、きっとぐちゃぐちゃの私を知っても嫌いになんてならない。
彼はならない。
「あのね」
私はぽつりぽつりと今まで何があったかを話し始めた。
お父さんが再婚した事、紗奈さんと千風が新しい家族になった事。
最初はうまくいっていた事。
だけど、壊れてしまった事。
涙で言葉を詰まらせながら、私は全部を話しした。
槙野くんは最後まで相槌を打ちながら聞いてくれた。
最後まで話しした時、槙野くんも一緒に泣いていた。
「頑張ったね。藤さん。偉いね」
「……う、ん」
「ね。藤さん。本当に藤さんが嫌なら僕が殺してあげようか」
「え?」
ぎゅっと槙野くんが私の手を握る。
何かの冗談かと思ったけど、彼の顔は真剣だった。
殺してあげようかって。
……もしかして、消してしまうって事?