君の中から僕が消えても僕は君を覚えている。【完結】
「ねえ、槙野くん」
「なに?」
「勝手に自分を殺すのだけはやめてね」
そう言うと、槙野くんは少しだけ目を見張った。
それからふっと微笑み、ゆっくり頷きながら「誓うよ」と言ってくれた。
「じゃあ、明日からよろしく」
「うん。よろしくね」
顔を見合わせ、ちょっとだけはにかむ私と槙野くん。
そして、私と槙野くんの不思議なカンケイが始まった。
私には何故か自信があった。
槙野くんは私の中の槙野くんを殺さないんじゃないかって。
そんな約束をしたわけじゃない。
むしろ、槙野くんは存在を消そうとしている。
だけど、私を好きな槙野くんなら考え直してくれるんじゃないかってそう思ったから。