君の中から僕が消えても僕は君を覚えている。【完結】
「いいから、早く彼氏のとこ行ってあげなって」
「うん、行って来る」
メイちゃんがそう言ったから私は荷物を持つと、慌てて校門へと向かった。
「槙野くん」
「藤さん、ごめん。思ってる以上に早く着いた」
「ううん。大丈夫」
槙野くんの家へ行く為に、並んで歩き出した。
「母さんに藤さんが来る事言ったら、ケーキ作るって」
「本当に?楽しみ~」
「ドライフルーツが入ったパウンドケーキだってさ」
「ええ!?」
もっと、こう、ショートケーキとか、チョコレートケーキとかを想像していたよ?
パウンドケーキだって。絶対に美味しいだろうし、今から楽しみ。
そう思ったら、ぐぅっと私のお腹の虫が鳴った。
ハッとしてお腹を押さえるも、槙野くんにはバッチシ聞かれていたらしい。
ちゃんと食べたけど、練習でカロリーもっていかれたからなあ。
恥ずかしくて頬をぽりぽりと掻いた私に、槙野くんは優しく言った。