君の中から僕が消えても僕は君を覚えている。【完結】


リビングに案内された私は、広々としたリビングに唖然とした。
豪華なシャンデリアに、アンティークチェア。
なんか、アリスとかお伽噺に出てきそうなキャラクターがここに住んでいそうだな。


お母さんがアリスの恰好しても似合うと思うな。
槙野くんは嫌な顔をしそうだけど。



「ね、藤さん、部活終わりで疲れてるからさ、何かサンドイッチとか作ってくれない?」

「そうよね、お腹空いたわよね。待ってて、えっと。あ、マーガリン切らしてるから買って来るわ。
すぐだから待っててね、えっと、えっと何ちゃんなのかしら」


財布片手に私に聞いてくるお母さんに、私は答える。


「藤、瑠美子です」

「そう、瑠美子ちゃん。可愛い名前!少しだけ待っててね」


そう言ってパタパタと走り出したお母さんは外へと出て行った。
なんか、悪い事してしまったかな。


「気にしなくていいからね。きっと僕達が止めても母さんは買いに行くから」

「そうだな、怜子は料理にはこだわりがあるかならあ」


申し訳なさそうにしている事に気付いたのか、二人がフォローするように私に声をかけてくれた。
やっぱり親子だなあ。お父さんも優しいんだ。

この二人の息子だから、槙野くんはこんなに真っ直ぐなんだろうな。


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