君の中から僕が消えても僕は君を覚えている。【完結】
「ただいま!今すぐ作るからね~」
「おかえり、怜子」
「ふふ。ただいま、あなた」
二人は本当に幸せそうで、仲良さそうに見えるのに。
そんな事実があって、今もお父さんだけそんな事を考えているなんて。
やっぱり、あの力は怖いなって思った。
「僕達、出来るまで部屋にいるね」
「ああ、わかった」
そう言うと、槙野くんは私の手を引いて自分の部屋へと連れて行く。
部屋に着いてから槙野くんはぎゅっと私を抱き締めた。
「えっ、槙野くん?」
「ちょっとだけ。ちょっとだけこうさせて」
「うん」
私もそっと槙野くんの背中に手を回した。
ドキドキして、嬉しくて、胸がいっぱい。
昨日よりも、今日の方が槙野くんを好きになっている。
きっと明日は今日よりも。
毎日槙野くんを好きになる。
槙野くんも同じ気持ちでいてくれているかな。