君の中から僕が消えても僕は君を覚えている。【完結】
結局長居してしまって、最後に槙野くんのお父さんに送ってもらう事にした。
断ったのに聞いてくれないから最終的に折れるしかなかったんだけど。
槙野くんとのさっきまでの気まずい空気はもう消えていて、ホッとした。
きっと彼の事だから何か理由がある筈なんだよね。
それを私は待とう。
家まで送ってくれた槙野くんのお父さんにお礼を言うと、「またね」と笑顔で言われた。
今度は何か手土産持っていこうっと。
いつも御馳走してもらってばかりだ。
「藤さん、ごめんね。うちの両親が放してくれないから」
「ううん。楽しかったよ。それに怜子さんの作る料理凄く美味しかったし」
「そう言って貰えると嬉しい。もうすぐ夏休みだね」
「そうだね。大会終わるまで部活で忙しいと思うけどさ、終わったら会おうね」
「うん。わかった」
そう言って私達は手を振ってさよならをした。
大会前だと一日練習漬けになるし、帰ったら疲れてすぐ寝ちゃうからあんま槙野くんと話せないだろうなあ。
メールはするようにしないと。
月曜になって里緒にはすぐ報告した。
やっぱりな~と笑っていた里緒だったけど、祝福してくれた。
それから、すぐに夏休みになって私は部活漬けの日々だった。
暑い中、朝から遅くまでずっと練習。