君の中から僕が消えても僕は君を覚えている。【完結】
【今日、新記録出たよ!このままいけば一位になれるかも!】
【本当に?藤さんは凄いな。】
【大会は応援に来てくれるんでしょ?】
【うん、もちろん。両親につい口を滑らせたら行きたいとか言い出してさ。
止めるの必死だった。日にち教えないから安心してね。】
槙野くんのうんざりとしている顔が浮かんだ。
優しいなあ。見に来てくれるなんてさ。
本当に素敵な両親だ。
でも、見に来られるのはちょっと恥ずかしいな。
うちの父親ですら来ないのに。
【あはは、想像つく。槙野くんが大会来るなら私、張りきっちゃうからね!】
【うん。僕も応援頑張るよ。】
槙野くんとはこんな他愛ないメールをいつもしていた。
それが凄い幸せだって思っていたし、楽しかった。
大会間近は本当に朝から夜まで練習で、本当に槙野くんと話す時間が取れなかった。
メールをしているけど、ほとんどおやすみやおはようの連絡だけだ。
でも、この大会が終わったら槙野くんと一緒に遊べると思ったら我慢出来た。