君の中から僕が消えても僕は君を覚えている。【完結】
そうして迎えた自分の番。
スタートラインに立つ。第三走者。
隣には同じく今まで練習を積んできたライバル達。
負けない。私達は位置につくと、音と共に一斉に走り出した。
体が軽い。いつもよりも。
凄くパワーが溢れて来る。
足を思いっ切り前に出して、腕もぐんっと引っ張って、力の限り走った。
ゴールに到着した私の順位は二位だった。
勝ったと思ったのに。
一位とは僅か一秒差。
記録でも上位だったから、私の決勝は確実だった。
走り終わった私はすぐに槙野くんの元へと走った。
「藤さん!凄い!凄い!」
槙野くんは興奮しているようだった。
その様子に笑いながら、
「決勝は頑張るからね!」
と言った。
首がもげるんじゃないかってぐらいに何度も縦に首を振った槙野くん。