君の中から僕が消えても僕は君を覚えている。【完結】
それから全ての種目を終え、表彰式と閉会式が始まった。
表彰式でメダルを首にかけてもらった私。
閉会式が終わると私は首に金のメダルをぶら下げたまま、槙野くんの元へと走った。
「今日はありがとう」
「本当におめでとう。感動しちゃった」
「へへ、ね、槙野くん目を瞑って」
「え?目?」
「うん」
「何かな」
そう言いつつも素直に目を閉じた槙野くん。
その槙野くんの首元に、さっきもらったメダルをかけた。
「いいよ、開けて」
「ね、今首に……、え」
「あげる」
「えっ?」
槙野くんはキョトンとした顔で私とメダルを交互に見つめる。
「これは槙野くんがいたからもらえた!槙野くんの応援のお陰なんだ」
「…………」
茫然とそのメダルを見つめていた槙野くんは、ぎゅっと唇を噛む。
それから、俯くと涙をぽろっと流した。