君の中から僕が消えても僕は君を覚えている。【完結】
僕が殺したいのは僕自身。
夏祭り当日。
自分で着付けをするつもりだったのに、何故か私は槙野くんの家にいる。
そして、怜子さんに着付けをしてもらっていた。
「瑠美子ちゃん、可愛い。ピンクとっても似合うわね」
コロコロと笑う怜子さん。
槙野くんに夏祭りに浴衣を着て行くって言ったら、槙野くんのお母さんが是非着付けをさせてとお願いして来たのだ。
怜子さんは嬉々として髪の毛をセットしてくれる。
ピンクの浴衣なんて、自分じゃ絶対に選ばないし、着ないけど。
まだ関係が壊れる前に、紗奈さんが私に似合うって選んでくれたんだ。
それを引っ張り出してきたわけだけど。
「変じゃないですか……?」
鏡を見ながら自分の浴衣姿を見るけど、不安でしかない。
そんな私に怜子さんは驚きの声を出す。
「どこが!これで理人が可愛くないなんて言ったら、怒っちゃうんだから」
ぷりぷりとしながら頬を膨らます怜子さん。
仕草がとても愛らしい。
「ねえ、瑠美子ちゃん」
「はい」
「理人の事、好きかしら」
「えっ」
その言葉に私は驚いて怜子さんの顔を凝視する。
怜子さんはニコニコしながら私を見ていた。
「えっと、その」
動揺しながら言葉を選んでいると、怜子さんが口を開く。