君の中から僕が消えても僕は君を覚えている。【完結】

「はあ、ドキドキする」


少し前を歩く槙野くんがぼそっと呟いてから、こっちを見てふふって笑った。



「私も」

「藤さんも?僕と同じなのかな」

「当たり前じゃん。こんなの初めてだもん」

「……そっか。初めてが僕って嬉しいな」

「私も槙野くんが初めてで良かった」



これから過ごす時間、全てが初めての経験だ。
様々な行事とか、喧嘩とか、そんなのだって、きっと大切な思い出になる。


それが今から楽しみだった。
きっと、今よりもっともっと槙野くんの事が大好きになる。


これからの未来、楽しい事だけじゃないと思う。
それでも、私は二人で相談して築き上げていきたいって思った。


夏祭り会場は人でごった返していて、槙野くんが私を気遣いながら先へと進む。
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