君の中から僕が消えても僕は君を覚えている。【完結】
「何が食べたい?」
「えっと、たこ焼きと、焼きそばと、リンゴ飴と……あ、チョコバナナもあるよ!」
私が屋台を見ながら目についた食べたいモノをあげていくと、槙野くんは吹き出した。
「うん。全部食べられるからわからないけど、一つずつ買おうか」
「あっ、食いしん坊だって思ったでしょ!?」
「ははっ、そんな事ないって。素直でいいなって」
「だ、だって。お祭り行くからあんま食べてこなかったから」
「食べすぎたら浴衣苦しくなるんじゃない?」
「ああっ、そうかも。ほどほどにしなきゃ」
浴衣から解放されるまでおあずけだ。
うう、たくさん食べたかった。
しゅんってしている私を見て、槙野くんは優しく微笑んだ。
「食べたいの全部買って、僕と半分コしよ。
そうしたら色々食べられるんじゃない?」
「うんっ」
私は目を輝かせて頷くと、屋台に並んで目当ての食べ物をたくさん買った。
それから、喧騒から少し外れた場所に二人で腰を下ろす。