君の中から僕が消えても僕は君を覚えている。【完結】

「何から食べる?」

「どうしようかな。やっぱ最初はたこ焼き!」

「ふふ、はい。どうぞ」

「ありがとう」


槙野くんからたこ焼きの入ったパックを受け取ると、開けて一つ頬張った。
なんでこんなに美味しいんだろう。


幸せな気持ちに浸っていると、槙野くんが尋ねて来る。


「美味しい?」

「うん!美味しい」

「よかった。僕は焼きそば食べてようかな」

「たこ焼き、食べる?」

「もらおうかな」

「はい、どうぞ。そういえば花火何時だっけ」

「えっと……七時からかな?あ、後十分ぐらいだ」

「もうすぐだ。楽しみ」


今、私と槙野くんが座っているこの場所は結構穴場だ。
ちゃんと花火を見る為の席も主催側から用意されているけど、お金がかかったりする。
それに、無料の席は場所取りの為に何時間前から座っていないといけない。


ここは駅やバス停の反対側だから、あまり人も立ち寄らない。
お店がちらほらとあって、他は田んぼだらけ。

大きな木も少なくて、空一面を見渡せる。


去年、里緒とここを見つけた時は良い場所を見つけたと喜んだ。
今年、まさか槙野くんとこの場所に来るとは思ってもいなかったけど。
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